2枚屋根の家
丘陵地の古くからある住宅街に建つ戸建住宅。
高低差がある敷地に対し、周囲の建物の多くは擁壁によりその高低差を処理し、その上に建物を建てています。擁壁による圧迫感を軽減し、緩やかなまちとのつながりを持つ住宅とするため、その高低差を斜面によって処理し、その斜面に沿って2枚の屋根をかけるような住宅を計画しました。遠景には呉羽山を、近景には周囲の庭園の植栽などを望むことができる立地であったため、プライバシーを確保しながら、それらの借景を日常生活の中に取り込めるような住まいとし、日常的に階段を上下する動線の中で、高揚感や季節感が感じられるよう、窓の位置や形状を工夫しています。
室内は主に無垢材や珪藻土などの自然素材を用いた丁寧な大工の手仕事を基本に、様々なバックグラウンドを持ったエレメントを組み合わせています。建具は日本の伝統的な障子や舞良戸をモチーフとし、採光などの機能に配慮しながら、建物全体としての統一感が感じられるデザイン体系によってデザインされています。
手洗い場の照明器具と洗面ボウルは、地元のガラス作家AKI-KOS GLASS 輪島 明子さんによる特注製作です。クライアントとともに輪島さんの工房を訪れ、イメージについて話し合いながら製作していただきました。
ダイニングのペンダント照明はFOSCARINI社のGreggを採用しています。この不整形で柔らかなフォルムは庭に置かれた庭石との連続性を意識しています。これらの庭石はもともと、この敷地内に置かれていたもので、子供たちが敷地を見に来るとよくその石の上で遊んでいるというエピソードから、造園家の山崎 広介さんに子供たちが石に登って遊びたくなるようなお庭を考案してもらいました。
設計プロセスの中で、この土地の立地や歴史、クライアントやつくり手との対話を重ねることで生まれる様々な事象を組み合わせ、編集することで美しく調和した空間を生み出すことを心がけて設計しました。
U :専用住宅
S :富山県富山市
D :2023.4
SC:184.74㎡ 木造2階建て
A :studioSHUWARI 種昻 哲 北野 るりこ 小見 彩
SD:Workshop 安江 一平
PD:山崎箱庭設計 山崎 広介
C :WARMTH 坂口工務店 坂口 智志 針山 洋史 坂口 さゆり
CO:洗面ボウル・ランプシェード製作 AKI-KOS GLASS 輪島 明子
P :ToLoLo studio 中村 マユ 田中 タツキ
凡例 U:USE/用途 S:SITE/場所 D:DATE/完成日 SC:SCALE/規模 A:Architect/意匠設計 SD:Structure Design/構造デザイン PP:Planting Plan/植栽計画 LP:Lighting Plan/照明計画 LD:Landscape Design/ランドスケープデザイン AD:Art Director/アートディレクター C:Constructor/施工会社 P:Photo/写真 CO:Collaboration/協力